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Chemical Properties 珪酸ソーダとは

珪酸ソーダとは

珪酸ソーダは珪酸ナトリウムとも呼ばれ、ナトリウム分(Na₂O)と珪酸分(SiO₂)が、様々な比率で含有されており物理構造上は無定形(アモルファス)でいわゆるガラス構造を持つ物質です。
一般的なガラスは、成分にカルシウム(Ca)を含むものが多く不溶性ですが、珪酸ソーダはカルシウムを含まないため可溶性で別名水ガラス(水に溶けるガラス)とも呼ばれており、水溶液としての組成式はNa₂O・nSiO₂・mH₂Oで表わされます。
組成式のnはNa₂O量に対するSiO₂量の比率(モル比)を示し、このnが2より小さい場合は洗浄効果を生かした用途、nが3より大きい場合は凝固効果を生かした用途に使われることが多く、その他全モル比領域(n=0.5~4.3)で水分量mを調整することでさらに多くの用途に利用されています。

珪酸ソーダの性質

①組成

珪酸ソーダはSiO₂(珪砂)とNaCO₃(ソーダ灰)とを溶融して製造しますが、市販されている大部分はこの水溶液で、化学式としては一般にNa₂O・nSiO₂・mH₂Oが採用されております。需要家が珪酸ソーダ選択の基準にモル比を考慮されますが、モル比とは含有するSiO₂とNa₂Oの分子量比であり、右式1にて算出します。珪酸ソーダ分析表に示されるSiO₂とNa₂Oの重量百分比にモル係数を掛けることにより簡単に計算できます。

珪酸ソーダの性質

②密度

水溶液としての珪酸ソーダの比重はボーメ度で表すことが慣例で、重ボーメ計を用いて測定します。ボーメ度(Be’)と比重(d)の換算式は右式2となります。珪酸ソーダ水溶液は温度の変化による比重の変化が他のアルカリ性物質と比べて大きいため、日本無機薬品協会規格では15℃で測定した比重(ボーメ度)を珪酸ソーダの比重として規定していますが、15℃以外で測定した場合は右式3によって15℃でのボーメ度の近似値を得ることができます。

珪酸ソーダの性質
珪酸ソーダの性質

③粘性

粘性は珪酸ソーダ溶液の重要な属性ですが、珪酸ソーダが単なる珪酸アルカリの溶液でなく、むしろコロイドに属すると考えらることで粘性についての図表を得ることは大変に困難であります。粘度の測定には通常Höpplerの粘度計が用いられますが、簡易的にB型粘度計がよく用いられます。珪酸ソーダは濃度をあげた場合、非常に顕著な粘性の増加を示し、殊に珪酸分の多いものはアルカリ性のものより比重の小さい点で急激な増加割合で粘性の増加が示されます。参考までに濃度と粘度の関係、比重(密度)と粘度、粘度と温度の関係図を挙げておきます。

珪酸ソーダの性質

主な特性/発生する作用

洗浄
:水溶液中で汚物を分解し、これを吸着して懸濁させます。
乳化(エマルジョン)
:油脂の表面張力を弱め、水と混ざりやすくします。
ケン化
:エステル(酸とアルコールの化合物)を加水分解し、脂肪酸塩(石鹸)とグリセリンに分解します。
軟水化
:硬水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンと結合して沈殿させ軟水に変えます。
緩衝
:洗浄中の汚れによる酸性化を抑えます。また、アルカリ性が高くなりすぎない働きもします。
キレート
:汚物中に含まれる金属イオンを安定化させ、界面活性剤の洗浄効果低下を防ぎます。
漂白
:水中にある酸化鉄等を包んで沈殿させ、酸化鉄による着色をなくします。
接着
:紙類、段ボールなど多孔質の材料の接着に有効です。
捺染
:布に染料を定着させる媒染剤として用いられています。
脱脂
:油脂をケン化作用により石鹼に変化させ洗い落し易くします。
硬化材
:セメント等の材料と混ぜると化学反応により硬化速度を促進させます。
防火
:素材に塗布、浸透させて難燃性を向上させます。
耐蝕
:金属の表面に皮膜を形成すると、腐食発生を防ぎます。

主な用途

分野 使用目的 具体的な使用方法、もしくは役割
土木 軟弱地盤の工事における止水と土壌改良 硬化剤としてセメント、硫酸系、有機系があり、それらと組み合わせて使用
トンネル(シールド)工事の裏込め剤 地盤沈下防止に空隙の裏込め剤として使用
建築 コンクリート強化剤、耐火材等 防水、耐火、塩害防止、硬化
合成洗剤・石鹸 石鹸の添加剤
合成洗剤のビルダー
アルカリ増強、油脂成分乳化分散、キレート、酸性物質のケン化、
再汚染防止、金属製品の腐食防止
紙・パルプ 製紙、古紙再生 漂白、脱墨
鋳物 鋳型の成型 粘結剤
窯業 耐火/耐酸モルタル、鋳込み成形 粘結剤、粘土の沈殿分散剤、陶土の解膠剤(コロイド調整)
溶接棒 溶接棒成形 フラックス結合剤
接着剤 段ボール成型、建材、印刷 コーティング、シーリング、エッチングによる接着
無水珪酸 脱脂乾燥剤、合成ゴム補強 シリカゲル、ホワイトカーボン
繊維 絹の精錬、染色工業、捺染 漂白助剤、染色剤、防炎加工剤
水道 微量不純物除去、軟水化 凝集剤助剤

製造工程

製造工程

当社製品規格例

表1
項目種類 比重
(15℃ Be')
二酸化けい素
(SiO₂ %)
酸化ナトリウム
(Na₂O %)

(Fe %)
水不溶分
(%)
外観
1号珪酸ソーダ 35.0~38.0 17.0~19.0 0.03以下 0.2以下 無色ないし、
わずかに着色
した液体
1号珪酸ソーダ K1 50.5〜51.5 29.6~30.3 14.7~15.2 // //
2号珪酸ソーダ 54.0以上 34.0~36.0 14.0~15.0 // //
2号珪酸ソーダ Q5 44.5〜45.5 27.8~28.5 11.5~11.8 // //
3号珪酸ソーダ 40.0以上 28.0~30.0 9.0~10.0 0.02以下 //
4号珪酸ソーダ 30以上 22.0~25.0 5.5~8.5 // //

弊社製品規格は【日本無機薬品協会規格 けい酸ナトリウム(けい酸ソーダ)】に基づいて運用しております。
協会規格につきましては、下記サイトよりご確認ください。

メタ珪酸ソーダ

メタ瑳酸ソーダの分子式はNa₂O・SiO₂・nH₂Oと表わされ、結晶水の結合状態により色々の種類がありますが、日本無機薬品協会規格では9水塩と5水塩の2種が規定されております。

表2
品名項目 1種(5水塩) 2種(9水塩)
外観 白色結晶 白色結晶
モル比 0.98~1.02 0.98~1.02
二酸化けい素 (SiO₂) 27.5~28.5% 20~21.5%
酸化ナトリウム (Na₂O) 28.5~29.5% 21~22%
入目 25kg 20kg, 25kg
包装 ポリ袋 ポリ袋

メタ珪酸ソーダの製造工程

原料として珪酸ソーダ、苛性ソーダを製品のモル比に応した配合となるように調合、反応後蒸発濃縮したものを品出槽にて冷却、晶出した結晶を連続脱水機により母液より分離し自動包装機にて所定の包装に仕上げ製品となります。

メタ珪酸ソーダの製造工程